ぱん工房〇(まる)は、2024年4月に長野県木島平村の静かな集落内に誕生した、自家製ルヴァン酵母と地元食材にこだわるベーカリーです。
元中学教師の宮田伸也さん(55)が、48歳で教職を離れ、専門学校や製パン実修を経て自宅をセルフリノベーション。
新たな挑戦として開業したストーリーは、テレビ朝日系列「人生の楽園」(2025年6月14日放送)でも紹介され、地域と訪れる人々に深い感動を届けています。
この工房では、長野県産小麦や卵、野沢菜、菜の花などの旬素材をふんだんに使い、バタールや調理パンから、季節限定パン、土曜限定のクロワッサンや窯焼きピザまで、焼きたてを手ごろな価格(150~250円)で楽しめます。
さらに、店頭での販売だけでなく、高校や役場への出張販売も定常的に行われ、地元への浸透度も高まっています。
注目すべきは、豪雪地帯に適応した太陽光発電—「雪国ソーラーシェアリング+壁面設置」方式による7.47kWのクリーンエネルギーシステム。
発電は年間を通じて安定し、晴天日には電力消費を大きく上回り、自家用EVの充電にも活用されているため、持続可能性とエコビジネスモデルとして地域の模範となっています。
本記事ではその期待に応え、宮田さんの挑戦と店の魅力を、丁寧に解説します。
宮田伸也さんの転身ストーリーと開業背景

教師からパン職人へ転身した経緯
宮田伸也さん(55歳)は横浜市出身。大学を卒業後、長野県の中学校で社会科教師として勤務を開始し、後に二児の父として家族とともに教職生活を送りました。
しかし、奥様を若くして亡くされるという大きな喪失を経験されます。
子育てを終えた後、「教職の先に見えてこない人生」に疑問を抱き、第二の人生を見据えて48歳で一念発起。調理師免許取得からパン職人への転身を決意されました。
調理師・製パン専門学校での学び
退職後すぐに調理師養成学校に通い、製菓と製パンの基礎を習得。
その後、長野市内のベーカリーで約3年間の実践修業を経て、さらに東京の製パン専門校で技術を磨くという徹底した学びの6年間がありました。
この長丁場の準備期間を経て、宮田さんは独立という夢に近づく土台を築き上げました。
開業までの6年間の研鑽と自宅リノベーション
製パンの技術を学び終えた2024年4月、自宅を改装して『ぱん工房〇(まる)』をオープン。
築年数十年の民家をベーカリーに蘇らせ、朝6時半から焼きたてパンを提供するスタイルをスタートしています。
店舗名の「〇(まる)」には「地球や体への優しさ」「循環型社会への貢献」など多くの願いが込められ、お店のコンセプトに表れています。
ぱん工房〇(まる)の特徴とこだわり

地元素材&自家製ルヴァン酵母の使用
ぱん工房〇(まる)は、長野県産の小麦粉・卵・野菜など、地元の素材をふんだんに使うことで、訪れる人々に“ここでしか味わえない”風味体験を届けています。
使用するパン生地には、宮田伸也さんが自ら種継ぎを続けている自家製ルヴァン酵母を採用。
天然酵母ならではの深い香りや、しっとり・もっちりとした食感が特徴で、地域の農産物の味わいをやさしく引き立てています。
廃棄ゼロを目指す食品ロス削減
ぱん工房〇(まる)は、毎日「必要な量だけ焼く」というスタイルを徹底。完売がゴールというスタンスで運営され、食品ロスを極力削減しています。
この取り組みは、食品に敬意を払う姿勢として地域でも高く評価されており、持続可能な経営の指標としても注目されています。
ソーラー発電導入などエシカル運営
パン工房〇(まる)は環境に配慮した店舗運営を実践しており、2023年11月から店舗の屋根や壁面に合計7.47 kWの太陽光発電システムを導入。
この発電装置は、冬季も含めて電力消費をまかなうだけでなく、晴天日にはEV車への充電にも利用可能なほどの高い自給率(実績では130%)を達成しています。
太陽光設備を持つパン屋という先進的なモデルとして、地元メディアからも注目されているのが特徴です。
最新メニュー&曜日別ラインナップ紹介

平日朝6時半〜/バタール・調理パンなど30種以上(150〜250円)
火・水・金曜日は朝6時〜6時30分の開店から、およそ30種類のスタンダードパンと調理系パンが並びます。
バタール(200円)やレーズンボール、ベーコンポテト、コーンマヨ、ごぼうサラダなど、地元産の食材を活かした調理パンが中心です。
価格帯はすべて150〜250円と、手ごろでつい手が伸びる設定。毎朝焼き上げられるため、どれも焼きたての香りと食感が楽しめます。
土曜10時〜限定 クロワッサン・デニッシュ・窯焼きピザ
土曜日は平日メニューとは趣向を変え、まず朝10時からクロワッサンやデニッシュなどの発酵系ペイストリーが登場。
さらに、11時からは注文を受けてから焼く窯焼きピザを提供。
窯焼きの香ばしさと、地元の旬食材を使った具材が味わえるこのスタイルは、週末の特別感を増幅させ、地元客だけでなく訪問者の期待にも応えています。
季節限定パン(菜の花ベーコン・野沢菜クリームチーズなど)
Instagramでも紹介されたように、季節の地元食材を活かした限定パンが出ています。
春には「菜の花とベーコン」のフォカッチャ、初夏には「野沢菜とクリームチーズ」のハード系パンがラインナップに加わります。
さらに今年の春先には、地元でとれた根曲がり竹をマルゲリータ風ピザのトッピングに使用する試みもあり、周囲の農産物との連携を強めています。
アクセス・営業情報まとめ

場所・住所・駐車場(一部移動販売あり)
ぱん工房〇(まる)は、長野県下高井郡木島平村穂高3131‑15に位置します。
静かな集落の奥にある築古民家を活用した店舗で、敷地内に2台分の専用駐車場が設けられています。
平日の営業時間帯には、店舗営業のかたわら近隣の高校や役場へ定期的な出張販売も行われており、移動販売専用の小型EV車が使用されていることが報じられています。
営業時間と定休日の最新状況
最新のInstagramや地域情報に基づくと、営業は以下の通りです。
- 火・金曜日:朝6時30分~15時(12:00〜13:30の間は移動販売のため店舗一時閉店)
- 水曜日:朝8時頃~15時(同様に12:30~13:30は不在)
- 土曜日:10時~15時(売り切れ次第終了)
- 定休日:日曜日・月曜日・木曜日+不定休あり
また、支払いは現金のみ可能で、電子マネーやカードは現時点で対応していない点にも注意が必要です。
InstagramなどSNSでの最新情報チェック術
お店の最新情報は、公式Instagramアカウント@marupan\_kijimadairaで確認できます。
5月には旬の根曲がり竹を使ったマルゲリータ風ピザトッピングの告知があり、直近の営業予定や限定メニューも随時アップされています。
特に土曜の限定品や不定休の案内はSNSが最速なので、訪問前にチェックするのが確実です。
地域とのつながりとエピソード

地元住民や元教え子との温かな交流
ぱん工房〇(まる)には、木島平村や近隣地域の住民だけでなく、宮田伸也さんが教鞭を執った元中学生やそのご家族も足を運びます。
元教え子たちが遥々県外から訪れることもあり、教室に戻ったような和やかな再会の場になっています。
パンを通じて旧交を温めるこの光景は、“第二の教壇”とも称される店の魅力の一つです。
出張販売での反響と行列の様子
週に数回、近隣の高校や役場、道の駅などで開催される出張販売は、午前中には完売するほどの人気ぶり。
列に並ぶ住民の中には、開店直後に整理券を受け取る方もおり、そのため販売開始前から行列ができることも珍しくありません。
地元メディアによれば、「出張販売コーナーだけで朝から活気がある」との評価もあります。
地域イベント・観光との連携
地元で開催される「きじまだいらランタンフェス」や農産物直売所のイベントにも、ぱん工房〇(まる)は定期的に参加。
ランタンフェスでは、村の小中学生と共に作られた手作りランタンの展示とともに、パンやピザを提供。
集まった家族連れや観光客に、木島平村の魅力と手作りパンの温かさを同時に伝える場となっています。
また、地元農林高校と連携し、食育・持続可能性の取り組みを共同開催するなど、地域全体とのつながりを育む活動も積極的です。
まとめ
木島平村のパン工房〇(まる)は、元中学校教師の宮田伸也さんが、48歳で教職を辞めて専門学校や現場で6年間学んだ後、2024年4月にオープンした地元密着型ベーカリーです。
深夜1時半から仕込みを始め、平日は朝6時半から約30種類、土曜は10時からペイストリーや窯焼きピザなど多彩なメニューを提供。
菜の花ベーコンや野沢菜クリームチーズなど、旬の地元食材を活用した季節限定パンにも定評があります。
お店は築30年の民家をリノベーションし、屋根・壁面に合計7.47 kWのソーラー発電を導入。
1日の電力消費を超える充足率130%を達成し、出張販売用EV車への充電にも活用されるなど、環境共生への強い姿勢が光ります。
販売スタイルは「毎日必要な分だけ焼く」ことで完売を追求し、食品ロスをゼロに近づけるエシカルな取り組みも評価されています。
個人的には、朝一番に焼きたてのバタールをほおばりながら、晴れた日に発電しているソーラー収穫を眺める情景が目に浮かびます。
宮田さんの「人生の再出発」と、地域と自然への愛情が、パン一つひとつにしっかりと息づいていると感じました。
教え子や家族との絆、そして教壇からパン職人へとつながる物語には、心が温まると同時に、「やり直す勇気」がじんわりと胸に響きます。
木島平村を訪れる際には、この小さな工房で、焼きたてパンとともに“人生の楽園”の一端に触れてみてはいかがでしょうか。
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