「不思議体験ファイル 信じてください!!」2025年6月24日放送では、SNSで突如拡散した「2025年7月5日に日本に大災害が起きる!?」という衝撃のウワサを徹底検証しました。
もともとこれは、漫画『私が見た未来』完結版(2021年刊)に収められていた“2025年7月に大災難が訪れる夢”を起点にしていますが、そこに具体的な日付や隕石・津波・太陽フレアが連想され、X(旧Twitter)やTikTokなどで急拡散。
中には「安全な場所は?」といった避難指南めいた投稿も見つかり、ユーザーの不安心理に火がつきました。
番組では、このウワサを「根拠はどこまであるのか」「拡散のメカニズムはどうなっているのか」を専門家や体験者の声を通して慎重に検証。
京都大学 野上大作准教授を迎えて「太陽フレア説」の科学解説を行ったほか、地方の旅行業者や自治体に取材し、実際に「7月5日問題」で予約キャンセルや観光客の減少が一部で起きている現実も取り上げられました。
そしてスタジオでは、加藤浩次委員長率いる“信じて委員会”が、「科学的根拠の有無」「出典の明示」「体験者の熱量」に基づきジャッジを実施。
その結果、番組は「完全否定はしないが、具体的な証拠が伴わない以上、信じるには至らない」と判断し、視聴者一人ひとりに“自分で判断する重要性”を伝えています。
この記事では、拡散されたSNS投稿、科学的視点による検証、そして放送で語られた専門家見解・地域の声に至るまで、最新の事実に基づいた情報を体系的に整理し、読者の皆さんが冷静に判断できるようサポートします。
7月5日を目前に、不安ではなく「科学で紐解く安心」を手にしてもらえれば幸いです。
ウワサの背景とSNSでの拡散経緯

『私が見た未来』に描かれた「7月の大災厄」
漫画『私が見た未来』の完全版(2021年刊)において、作者たつき諒氏が「2025年7月、日本に大災難が訪れる」という夢を描いていた記述が原点とされています。
この発言自体は「予言」ではなく、たつき氏自身が「過去から教訓を得るための記述」と語っていることから、あくまで寓話的な描写であると理解されます。
にもかかわらず、「7月5日」「隕石」「津波」「地震」「太陽フレア」などの詳細が、SNSで次々に追加されながら尾ひれが付いていったのが、このウワサの最初の拡散ポイントです。
2021年版を起点とした再拡散メカニズム
2021年版の『私が見た未来』発刊以降、当時は比較的静かだった描写ですが、2025年に入り再び取り上げられるようになった背景には、SNSユーザーによる「未来予言」との結び付けが大きく影響しています。
X(旧Twitter)をはじめとしたSNSでは、「7月5日」という具体的日付と「大災害」の語句が相次いでツイートされ、リツイート数が急増。
その結果、有名インフルエンサーや占い・オカルト系アカウントが、多くのフォロワーに誤解を拡散しました。
その後、テレビ番組に取り上げられることで話題化は加速し、拡散メカニズムが「漫画→SNS→メディア報道→再拡散」というループで回る構造になっています。
SNS拡散の典型的なパターンとは?
今回のケースはSNSにおけるウワサ拡散の典型的パターン—「出典不明の根拠」「尾ひれの追加」「権威づけ」—がすべて揃っています。
- 出典不明の根拠:「夢」の描写に具体的な日時や災害が付帯され
- 尾ひれの追加:「7月5日」という明確な日付、津波や隕石といった災害内容が二次拡散で補完され
- 権威づけ:「京都大学 准教授が太陽フレアで科学的に検証」「テレビ番組で検証」など、公的機関や学識者の名前が引用されることで信憑性が高まったように見える構図です。
しかし、この構造はいずれも「予言」「事実」としての裏付けがあるわけではなく、SNSを介した「情報増幅」の結果である点が重要です。
科学的検証:太陽フレア説を徹底分析

京都大学 野上大作准教授の説明ポイント
京都大学宇宙物理学教室・野上大作准教授は、太陽フレアが地球にもたらす影響について、以下のポイントで解説しています。
- 太陽フレアは太陽表面近くの磁場が急激に変化し、X線、高エネルギー粒子、プラズマなどを放出する現象で、地球まで約8分で到達する。
- 強力な太陽フレアが発生すると、地球の磁気圏に影響を与え、人工衛星の通信障害やGPS測位の乱れ、さらには送電網に誘導電流が流れることで停電といった社会的影響が起きる可能性があると警告されています。
- 特に、2025年は約11年周期の太陽活動極大期に当たり、黒点の数が増加傾向。
NASAやNOAAによると既に極大期に突入しており、Xクラス級の大規模フレア発生頻度が高まっているとのことです。
以上の点から、野上准教授は、「7月5日の災害は予言ではなく、科学的に注意すべき時期の1つ」という現実的視点で述べています。
過去の太陽フレア被害事例まとめ
過去に実際に影響が確認された太陽フレア事例は以下の通りです。
- 1989年3月、カナダ・ケベック州における停電
強力なXクラスの太陽フレアにより磁気嵐が発生し、数時間にわたる大規模停電が記録されました。 - 2023年2月、通信衛星の軌道逸脱
放出された高エネルギー粒子が地球上層大気を加熱し、スペースXの通信衛星が軌道を逸脱する事態が観測されています。 - 2025年5月のX2.7級太陽フレア
このフレアによりラジオ通信障害や局所的な停電が生じ、地震発生数もやや増加するトレンドが確認されたとの報告もあります。
これらの事例は、太陽フレアが現代社会インフラに直接影響を及ぼす現実的リスクを示しており、都市生活の脆弱性も浮き彫りにしています。
現段階で大災害に結びつく科学的根拠は?
現時点で「2025年7月5日に日本で大災害が起きる」という科学的根拠は存在しません。
- 太陽活動極大期による Xクラス以上のフレア発生確率の増加は認められるものの、具体的な日時や場所まで予測する技術は現存していません。
- 太陽フレアは地磁気圏を攪乱し停電・通信障害などを引き起こす可能性はあるものの、地震や津波、隕石衝突といった災害を直接的に誘発する科学的根拠は乏しいとされています。
- 京都大学やNICTなどが開発する「宇宙天気予報」で、今後のフレア発生リスクやインフラ障害の可能性は予測されつつあるものの、「7月5日」という特定日は選ばれていません。
結論として、科学的には「極大期にリスクは高まるが、特定日・特定場所で災害が確定するものではない」とされています。
番組内のジャッジ:信じて委員会の評価

加藤浩次委員長の判断基準
番組の中心を担う加藤浩次委員長は、「信じる・信じない」のジャッジを行う立場として常に科学的根拠の有無を重視しています。
特に今回の「7月5日大災害」については、事前に取材を通じて得られた情報(漫画の作者インタビュー、専門家の説明)を元に、「根拠に基づく立証がなければ信じるには足りない」と明言しました。
一方で、科学で説明できない存在に対しては「可能性を完全否定しない」姿勢を示し、”線引きをはっきりさせる良い番組”という番組構成への評価も述べています 。
志田未来・バカリズムらパネラーのコメント
志田未来さんは今回が初出演ながら、不思議体験に対して非常に好奇心旺盛な姿勢を見せました。
彼女は「自分が経験したら自分が信じてしまうけど、こうして検証してもらえることで真偽がはっきりして素敵な番組」と笑顔でコメント 。
バカリズムさんは番組内容の振り幅に驚いた様子で、「前半と後半で毛色が違いすぎて感情がぐらんぐらんになった」と感想を述べています。
特に本田翼さんの「富士山UFO写真」に関しても触れ、「驚きの検証結果だった」と語りました 。
「信じる」「信じない」の分かれ目は?
「信じる」「信じない」の判定は、主に以下の要素で分かれました。
- 出典の明確さ
たつき諒氏のインタビューや漫画原典が提示された場合、信じるに傾くが、出典のない尾ひれや噂話には懐疑的態度。 - 専門家による裏付け
京都大学・野上准教授による「太陽フレア説」は評価するものの、具体的日時とのリンクがない点から信じきるには至らず。 - 体験者の証言の熱量
来スタした体験者の強い情熱には心動かされるが、その背景調査が不十分な場合は判断保留に留まる。
加藤委員長は「信じるか信じないかは視聴者に任せる」と締めくくり、柔軟かつ冷静な姿勢を貫きました。
他のファイル事案もあわせて検証

手ぶら運転おじさん目撃談の真相
番組では、動画投稿サイトやSNSで話題になっている「手ぶら運転おじさん」について、実際の映像と専門家の分析を紹介しました。
目撃者が投稿したスマートフォン映像は、一見すると無免許運転のように見えますが、警視庁OBの交通管理専門家によると、「映像が短く、距離感や速度が不明なため確かな判断はできない。『手ぶら』と断定するのは映像だけでは不十分」と解説されました。
また、投稿者本人にインタビューする中で、実際には片手運転で手元にある軽い荷物を下に置いたタイミングで一瞬両手がフリーになった状況だった可能性が指摘され、結論として「映像の印象が先行して誤解を生んだのではないか」と総括されました。
富士山で本田翼がUFO撮影?現物写真の扱い
番組では女優・本田翼さんが登場し、「富士山でUFOらしき光を撮影した」として公開された映像をスタジオで公開しています。
これは彼女が個人のアウトドア活動中にスマホで撮影したものですが、専門家によると「光源の軌跡や反射の特徴はスマホが自動補正した結果であり、UFOを示す証拠としては説得力が薄い」と説明されました(光学専門家・田中氏)。
さらに、撮影時の位置情報や撮影日時が記録されており、富士山五合目付近で夜間に車のヘッドライトや飛行機の航路と重なった可能性が高いという結論が出されました。
番組では、本田さんと光源の動きをソフト解析し、「UFOとは断定できない」と慎重な判断に至っています。
鹿児島・巨大鬼目撃伝説の再調査
鹿児島県で伝承される「巨大鬼目撃伝説」についても、番組は地域の自治体や民間伝承の記録を調査して再検証を行いました。
まず、地元の郷土史家による聞き取り結果として、「19世紀中頃に山奥で非常に体格のよい人物が目撃された」という口承が残るのみで、実物写真や映像は存在しないと確認されました。
さらに生物学者による山林調査では、「大型獣(イノシシや熊)の可能性のほうが高く、『鬼』という意味合いは後世の伝承が脚色して付与されたもの」と分析。
また、番組が専門の探検隊を派遣して現地撮影を行った結果、音声記録では「動物の足音」や「風による樹木の揺れ」が想定され、超自然現象と結びつけるには証拠が乏しいとの判定をしました。
まとめ

今回の「不思議体験ファイル 信じてください!!」(6月24日放送)では、SNS上で急拡散中の「2025年7月5日に日本で大災害が起きる!?」というウワサが中心テーマでした。
漫画『私が見た未来』の著者・たつき諒氏の“夢”が起点となり、SNSやメディアで尾ひれがつき、大阪・関西テレビをはじめ各局が科学的視点で真偽を徹底検証しました。
最も説得力のある説明は、京都大学野上准教授による「太陽フレア」によるインフラへの影響です。
確かに極大期に入っており、通信障害や発電設備へのリスクは科学的に認められますが、「7月5日」という特定の日に大災害が起きるという証拠は存在しません。
大分県ではこの噂が原因で7月5日の宿泊客が通常の3割程度まで減少するなど経済的打撃も発生し、地方行政や気象台が「科学的根拠がないデマ」と断言しています。
スタジオを取り仕切った加藤浩次委員長をはじめパネラー陣は、「科学的根拠が伴わなければ信じられない」と一致。
ただし、「科学で説明つかないことを完全に否定しない」のがこの番組のスタンスでもあり、「信じる・信じない」は最終的に視聴者に委ねられました。
「不思議体験ファイル」の今回の検証は、エンタメ性と科学的検証の両立を見事に実現していました。
不安や好奇心を煽るSNS投稿が社会にどんな波紋を広げるのか、その実例と対策が明確になり、見応えがありました。
視聴者の皆さんも、気になる情報を目にした際は「出典」「専門家の裏付け」「現地の声」を基準に、自分で判断する姿勢が求められると感じます。
個人的には、「予言への漠然とした不安」ではなく、「知らない現象を知る興味」に目を向けることこそが、この番組を通じて得られる最大の学びだと思います。
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